Jean-Michel Pilc Workshop

Jean-Michel Pilcのワークショップは終始インプロビゼーションの話が中心でした。単にジャズピアニストとしてではなくインプロバイザーとして彼は音楽を感じ、その瞬間瞬間の音楽を想像します。ハーモニーであってもアドリブのラインであっても決して予め用意するのではなく、その瞬間に自然に生まれる音楽を探します。過去のジャズレジェンドの演奏にとらわれるとこなく、またコードネームや音楽の理論にとらわれることもなく、その場でしかできないものを想像するのがインプロビゼーションです。「僕の指の方が僕より音楽を知っているよ」という彼の言葉が全てを物語っています。
しかし、彼はストレートアヘッドなジャズを無視しているわけでは決してありません。ハーモニーのアイデアをアートテータムから学び、スタンダード曲ボディーアンドソウルのテーマを2週間かけて練習する姿勢はまさにトラディショナルです。伝統から吸収し、それを土台にジャズをさらに前に一歩押し進める、これが彼の音楽と言えるでしょう。
その「瞬間」に想像するインプロビゼーションのコンセプトはマイルスデイビス他数々のジャズの音楽家たちに受け継がれてきました。
そのコンセプトを「今のミュージシャン」を通して体験できる、ワークショップは本当に貴重な経験を与えてくれます!